最後の恋、最高の恋。
「春陽は家に帰れない状況だし、誠人も家に連れて帰ってどうするのかが想像がつかないなぁ」
言いながら私が淹れたコーヒーを口に含んだ学は、「うん、美味しい」とにっこり笑って私の頭を優しく撫でた。
まるで子ども扱いされているような感覚に陥るけれど、それでも学に抗されるのは嫌じゃない。
なんだか大切に思われているような、可愛がられているような感じがして嬉しいのだ。
「宮田さん、お姉ちゃんをこうガッとものにしてくれないかなぁ」
頭を撫でられる感覚に目を細めながら、思わず口にすると学は「どうかなぁ」と天井を見上げてうーん、と唸った。
本当に、宮田さんがお姉ちゃんをどう思っているのかが想像つかないんだろう。
だから思わず一緒になって天井を見上げた私に、
「俺が誠人で、寄って潰れてる相手が美月なら遠慮なくいただきますするけどね」
という言葉を不意打ちに耳元で囁かれて、そのまま後ろのベッドにダイブしたのは仕方ないと思う。
ずるい、本当にずるい!
いっつもそうやって言葉一つで私を喜ばせたり翻弄させたりするんだもん!
うぅーーー! と唸りながらついさっきもしたようにベッドに突っ伏して真っ赤になったであろう顔を隠す。
隠しながらも、お姉ちゃんわたしが出来ることはしたんだからちょっとの勇気だしてがんばってよ、なんて思った。