最後の恋、最高の恋。

この状況と今の自分らしくない声の二重の羞恥で言葉を発せない私を、ここぞとばかりにからかうかと思った学は、ピタリと動きを止めて服の中に入っていた右手は大人しく出ていき、腕をまとめていた左手も離れて私の隣に仰向けにバタンと転がった。



「美月、それ反則……」



と訳の分からない言葉を呟いて、左手で目元を隠して「くっそ、負けた気分だ」と大人学から子供っぽい学へとシフトチェンジをいつの間にかしていた。



……なんだかしらないけれど、どうやらいつの間にか私は学に勝っていたらしい。

さっきまで明らかな学優勢の状況だったのに、いつの間に形勢逆転したのか。



それすらわからないけれど、学を負かした私は、これ以上何かされたら困ると学から少し距離を取った。


……いや、本音を言えば学に触れたいし触れてほしいけれど。


でも、その……。
下に両親が揃っているところっていうのが落ち着けない。

するならだれにも邪魔されない二人っきりのところで、とことんいちゃいちゃしたいもん。


思わず口をとがらせていると、「ちゅーするぞ」と学に言われて慌てて口を元に戻した。




< 314 / 337 >

この作品をシェア

pagetop