最後の恋、最高の恋。
スキルもなにも持っていない私には、触れさせるだけが精いっぱいで。
それでも唇から伝わる、自分じゃない体温に、……誠人君の体温に胸が否応なしに高鳴った。
「すき」
呟いて、また触れて。
「すきなの」
囁いて、触れて。
少しでもこの苦しいくらいの恋心が伝わって欲しくて、誠人君の温もりがもっともっと欲しくて、私はそれを繰り返した。
私を引きはがそうとすれば出来る誠人君は、それをしない。
この状況で目を開けられるわけがなくて、つむっている私には誠人君がどんな顔をしているのかわからない。
それでも、私は繰り返した。
友だちじゃ、いやなの。
あなたの特別に、なりたい。
伝わって欲しい。
触れるだけのキスと、バカの一つ覚えみたいな告白の言葉の繰り返しを、どれだけしたのか分からない。