最後の恋、最高の恋。

でも、何度目かの告白をしようと口を話した途端に、小さな舌打ちと「くっそ」という悪態、そして、腕をつかんでいた手が離されて誠人君の腕が腰と頭をがっしりと掴んだと思った次の瞬間には、唇が塞がれていた。


触れるだけのキスが、本当に子どもだと思えるような大人のキス。

口の中を我が物顔で誠人君の舌が動き回る。


上あごをなぞられて。
歯茎をなぞられて。
舌を絡め取られて、吸われて。


濁流のような快感が、私を連れ去っていく。

もう自分の足には力が入らなくて、誠人君の腕で支えられている状態だ。

それでも、私の口の中で縦横無尽に動き回る誠人君の舌の動きを真似して必死に応えた。



どうして誠人君がキスをしてくれたのか、分からない。


それでも、嬉しかった。

こんな私にすこしでも欲情してくれたのかな。


すこしは友達の枠からはみ出ることができたのかな。



そう思いながら、私の意識は白い光の中へ飲み込まれていった。

< 330 / 337 >

この作品をシェア

pagetop