最後の恋、最高の恋。
もう一つの初恋の行方【後編】
やべ、やりすぎた。
腕の中の春陽が力なくぐったりとしてしまったのを感じて慌てて口を離せば、春陽はとても恍惚とした表情で意識を失っていた。
……キスだけで気を失うとか、どれだけうぶなんだコイツ。
男なんて選り取り見取りだったろうに。
俺なんかより、学の方が人目を惹く容姿をしていたのに。
なんでよりにもよって俺なんだ。
しかも、あの告白だ。
普段はっきりと物事を言うと知ってるだけに、あのつたないけれど一生懸命な言葉に不覚にもドキドキさせられた。
初めてみた泣き顔に、思わずもっと泣かせたいなんて、場にそぐわないことを思ったりした。
でも、“こいつは友達だ、それ以上に見たことなんてなかったろう?”と自分に言い聞かせて、必死に理性を総動員していたにも関わらず、触れるだけのキスに、「すき」というまっすぐな告白の繰り返し。
理性を本能が打ち負かしたのは仕方ないだろう。