最後の恋、最高の恋。
「は……ひ…お…ろ、」
名前を呼ばれた気がして、だんだんと頭がはっきりしてくる。
「春陽、起きろよ」
今度はしっかりと聞こえたその声に、私はガバッと飛び起きた。
……つもりが、がっちりと抱え込まれていたせいで、それはできなかった。
この腕の持ち主は見なくても分かる。
そして、昨日のことが一瞬にしてよみがえった私は誠人君の方を見ることが出来ない。
どうしよう。
どんな顔をするのが正解なの?
頭の中はもうパニック状態で、言葉すら発せないでいる私の顔を強制的に自分へと向けた誠人君は、にこりと微笑んでついばむようなキスをくれた。
何度も何度も、まるで昨日の私のしたことを思い出させるかのようにキスが繰り返される。
目を閉じることすら出来ずに、真正面のどアップな誠人君の閉じられた瞼に並ぶ長いまつ毛を意味もなく見つめることしかできなくて。
頬に添えられている手には力が入ってないから、突き飛ばすことも可能なはずなのに……。
それをしない私。
ううん、私は突き飛ばしたくない。
もっと触れてほしい。もっと触れていたい。
もしかしたら、都合のいい女として扱われているかもしれないけれど、それでもいいから誠人君に触れられたい、なんてバカなことを思った私は、両手を誠人君の背中へそっと回した。