最後の恋、最高の恋。
「笑ってればいいだけじゃないだろう?」
その言葉にハッとして坂口さんの方を見たけど、相変わらず視線は前を向いたまま。
微かな笑みすら消えていて、真剣な顔……というよりは、どっちかというとなんだか少し怒ってるような、そんな表情をしている。
やっぱり私には坂口さんが何を考えてるなんて分からないし、見当もつかないけれど、きっと彼は……。
「受付は会社の顔だ。 訪ねてくる客の会社名や名前や役職、用事のある部署、以前どんな会話をしたか、そういうこと全てを頭に入れてながら笑顔でいることは、簡単な仕事じゃない」
……私の仕事を理解してくれている。
そしてきっと、
「仕事が好きで続けているんだから、自分の誇りを持っているものまで卑下するような言い方はやめろ」
私のことをちゃんと考えてくれて、分かってくれているからこそ怒ってくれているんだ。