最後の恋、最高の恋。
さっき触れたいと思っていた温もりに、突然包まれてどうしていいかわからない感情と、嬉しいとおもう気持ちがごちゃ混ぜになって、何の反応もできないまま引っ張られるように坂口さんに着いていくしかできなかった。
ゆっくり歩いているはずなのに、鼓動はドキドキと早鐘を打っている。
いくら何でもないように装っていたって、私の心臓は呆れるくらいにとても正直だ。
木々と草木に囲まれた歩道を5分くらい歩くと、一軒のログハウスが見えてきた。
誰かの別荘のようなそこは、入口のドアに小さいプレートがかけられている。
近づくとそのプレートは小さい10センチくらいの黒板のようなもので、チョークで“営業中”と、決して綺麗とは言えない殴り書きされたような字で書かれていた。
“営業中”というからには、ここはお店なんだろうけど絶対にパジャマは売ってないと思う。
「ここのパスタが絶品なんだ」
言いながら坂口さんが鞄を持った手で扉を開けて、ドアの内側にかけてあったベルが綺麗な音を立てた。