最後の恋、最高の恋。
あぁ、ダメだ。
これは、お友達になるまでもなくアウトだ。
坂口さんのお姉ちゃんを見る目が優しい。
眼は口ほどにものを言うってこういうこと。
……きっと坂口さんは、お姉ちゃんが好き。
「美月?」
「ん?」
ぼぉっとそんなことを考えていたせいか、お姉ちゃんが私の名前を心配そうに呼ぶから、何でもないように笑って返事をすれば安心したように笑みを返してくれた。
「美月、学どう?」
「どうって、どうもしない」
「どうもしないって、手厳しいな美月ちゃんは。 春陽とは正反対だなぁ」
その言葉に、ついギュッとカップを持つ手に力が入った。
それでも笑って「お姉ちゃんが身近にいると、私はいつでも引き立て役ですからねぇ」なんて冗談を返せるのも、この23年の賜物だ。