最後の恋、最高の恋。



お気に入りの雑貨屋さんで、目についた二つのマグカップを見比べる。

ピンクに白のドットか、茶色に白のドットか。
どっちも内側にあしらわれている猫のシルエットのあるデザイン。

この猫に一目ぼれだ。


「うーん、私のキャラで言ったら茶色なんだけど、好きなのはピンクなんだよなー……」


目線の高さまで二つを掲げて悩んでいると、ポケットの中の携帯が震える。

バイブが3回以上ってことは、着信だ。

手に持っていたマグカップをもとの位置に戻して、慌てて携帯を取り出すとお姉ちゃんからだった。


「もしもし?」

『美月? 今どこにいる?』


さっき別れてからそんなに時間が経ってない着信だから、お姉ちゃんは坂口さんと別行動で私と買い物でもしたいんだろうか、と予想を立てて、今いる店の名前を告げると、『今から行くからそこから動かないでね? 一緒にデートしてね?』と言われてつい笑みがこぼれる。


お姉ちゃんは、しっかりしてるのに時々こういう子供っぽいおねだりをするから可愛い。

私にはとても真似できない女の子らしさ。

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