最後の恋、最高の恋。


自分に似合う似合わないは別として、これを着れていることがすごく嬉しくて仕方がない。

来週の日曜にでももう一度行って、お姉さんにお礼を言いに行こう、とひっそり誓って私はバスルームを後にした。

リビングに入るなり、“カシャ”とシャッター音が聞こえて唖然とした。

目の前には携帯を私に向けて構えたお姉ちゃんがいる。


「お姉ちゃん、何やってんの?」


当然の私の質問も華麗にスルーして、「美月、ちょっと振り向きざまに笑って?」なんてポーズの指定までしてくる始末。


なに、なんなの?

お姉ちゃん、私の写メなんてとって、どうするつもりなの?


「お姉ちゃん、そんなことより今こうなってる理由を……」

「笑ってくれないの……?」


私の言葉を遮って、シュンとうなだれたお姉ちゃんを見て私はウッと詰まってしまう。

お姉ちゃんは普段綺麗なのに、こういう顔はすっごく可愛い。

可愛いと綺麗を兼ね備えてるなんて、最強だよなー、なんて思いながらもその顔に弱い私はリクエスト通りに振り向きざまに笑って見せた。
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