この先生は危険人物につき注意してください
それから二週間後。




「ちょ、待ってくれ!」


「初日から遅刻はナシだぜ!」

「みのるぅ、急いで〜」

チュンチュンと鳴く小鳥が暖かい朝日に照らされる高知駅前午前8時ジャスト。

自転車置き場から順になってダッシュで現れた3人は続々と高知駅の軽食屋から朝食を済ませて出てくる丸の内高校の生徒の群れを粉砕し、プロのレーサー顔負けのカーブで高知駅に入っていく。若干みのるが遅れ気味。

先頭は達也だ。しかし、後ろからアリスがどんどんと詰めてくる。彼らのコースは直線。邪魔なオブジェ(通勤する人、学校に登校する人、駅員など)は彼らの覇気に道を開けていく。

先頭の二人が互いの距離を狭めると、後ろのみのるとの距離は開いていくので本人は本格的に焦り出した。心の中でヤバいヤバいと連呼する彼の耳に、聞きたくもなかった一言が飛び込んでくる。


『午前8時1分高知駅発下り線、出発しまーす。お早めにご搭乗くださーい』


ヤバいヤバいヤバい!!

まだ定期も見せてないよ!?

今のみのるからしたらふざけたアナウンスが終わったと同時に、ホールに止まって餌を飲み込むように口を開けた電車の扉が閉まる合図の音が聞こえてきた。

「退いて退いて!」

「ほら定期!」

先頭の二人は駅員に走りながら定期を見せて陸上部顔負けのダッシュからのジャンプで華麗に電車に乗り込んだ。みのるもあと少しのところで電車に乗りこもうとした瞬間、扉の直前で茶髪で小学生位の女の子と衝突して・・・











こけた。

『ドアが閉まります。ご注意くださーい』
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