ストロベリーデイズ




「でも、さ…」



そう言いながらスッと伸ばされた右手が、私の左耳に触れた。

ピアスを転がすように撫でながら。



「お前、まだしてるよな。
気づいてないとでも思ってた?」



私は小さく、首を横に振った。

毎日授業中に私を起こしに来る先生が、気づいてないワケがないと思っていた。

だから先生の、『校則違反、次は見過ごさないからな。』という言葉を、ずっと気にしながら着けていた。


でも、例え先生があの時、見過ごしてくれなかったとしても、私はそれでもこのピアスを着けていただろう。




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