ストロベリーデイズ
◎恭佑side
パタン、と静かに閉まった扉をただ茫然と見る。
頭の中で、リピートされるのはこの前のような笑顔じゃない。
さっきのあいつの泣き顔ばかり。
ほんの少し、からかってやるつもりだった。
泣きそうになるほど、大切なんだなって。
それと同時に。
何でそんなに大切にするのか、疑問だったから。
赤い左耳だけのピアスでなくてはいけない理由が知りたかった。
しかし、その理由に。
きっと、醜い嫉妬だった。
あまりにも、当たり前のように言うから。
『好きだった人からもらった、おそろいのピアスなんです』