ストロベリーデイズ



なぜか泣きそうで。
でも、誰にも見られたくなくて。

もう、なんでこうなってしまうのだろう。



「あなたは、昔のわたしに似てるわ」

「…え?」


知らぬ間に床ばかり見ていた目線を上げると、永瀬先生は懐かしむように目を細めて微笑んでいた。


「自分の気持ちも見て見ぬふりして、相手の気持ちなんか知らぬふり。」

「…っ、なんの…」

「素直にならなきゃって思うほどに動けなくて、後悔しちゃうのよね」

「……」


夕日に照らされた永瀬先生は、どうやら人の心だけでなく、過去まで読めるのだろうか。




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