聖夜の奇跡
夕食を終え、皿を洗いながら、美希はリビングに目を向けた。
そこには、いつもと変わらず拓人がソファでくつろぎながらテレビを見ている。
こうして2人で夕飯を取るようになったのは、中学に入ってからである。
拓人の両親の帰宅が遅い日は、決まって美希の家で食事をしていた。
拓人の両親は多忙で、美希の母親は小学6年生の時に病気で帰らぬ人となっており、父親は帰りが遅いため、ほぼ毎日2人きりでの食事であった。
でも、高校に入り、拓人に彼女が出来てからというもの1人で食事をすることが多くなっていた。
美希はそれを少し寂しく感じていた。
拓人が好きな人に気持ちが通じたことを喜んであげないといけないところなのに、何故か心がもやもやとして、素直に喜んであげることが出来なかった。