聖夜の奇跡

「はい……」



緊張し過ぎて声がひっくり返った。



(やだ……もう…………)



でも、電話の向こうからはそんなの気にしていない様子で、「俺……」と一言発した。



「優介……?」



「あぁ、元気?」



「うん……そっちは?」



「元気。というか、いい加減気づいて欲しいかなと思ってるところ」



柏木優介のその声を聞いたところで、香澄は初めて隣からと電話からと同じ言葉が二重で聞こえていたことに気づき、右側にいる男性の方に勢いよく顔を向けた。




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