聖夜の奇跡
(4年経っても直緒以外好きになることは出来なかったなぁ)
あの日の直緒を和輝は忘れることはなかった。
2つ年上で、笑顔が絶えず、強気な彼女。そのくせさみしがり屋で……付き合っていた頃を思い出して思わず顔が綻ぶ。
あの日は、強い口調で何でもないように彼女は話しているつもりだったのだが、和輝にはそれが本心ではないことが分かっていた。
目に涙をいっぱい浮かべて、それを必死で誤魔化している姿は今でも明瞭に思い出せる。
「来てくれるかな……」
和輝は手元の雑誌に目を落としながらぽつりと呟いた。