聖夜の奇跡
再び公園に静寂が訪れ、二人分の白い息だけが、会話をしているかのように宙を舞っていた。
「おっ、妻がきたようじゃ。それじゃ、お先に失礼します。彼女が来ることを祈っていますよ。メリークリスマス」
優しい笑顔を浮かべ流暢な英語の発音でそう言うと、おじいさんはベンチを立ち、公園の入り口付近で待っているご婦人の方へ歩いて行った。
「メリークリスマス!」
和輝は会ったばかりのおじいさんに親しみを感じ、仲良さげに並んで歩いていく老夫婦をやさしく見つめていた。