聖夜の奇跡
どれくらいそうしていただろうか。
どちらからとなく離れてベンチに腰を下ろした。
「受賞おめでとう」
和輝は雑誌の表紙を直緒の方へ向けながら笑顔で言った。
「ふふふ。ありがとう。その写真なんだか自分じゃないみたいで恥ずかしいわ」
昔と変わらない微笑みを浮かべる直緒に、和輝は少しほっとしていた。
「これからはずっと日本に?」
和輝がそう言ったとたん、直緒から微笑みが消え去り、悲しげな表情へと変わっていった。