そんな顔すんなよ
そう。この凉菜アラームのおかげで、朝はしっかり起きれるようになったんだ。
理由は簡単。止める前に、凉菜の声が聞きたいから。
5分間、エンドレスで流れ続けるこのアラームを聞くことが習慣になったんだ。
「おかげで俺まで朝から凉菜ちゃんの声を聞けるんだけどな♪」
階段を降りながらそう言う慶輔の足を蹴った。
「ってぇ!」
「お前が悪いだろ」
「なっ、兄貴がアラーム流すからじゃんかよぉ!」
蹴られた足を大袈裟に引きながら部屋を後にした慶輔。
さて、俺も起きようかな。大きく伸びをして温かい布団から起き上がった。
「……寒い」
これから冬になる。寒い中の早起きは俺の敵だ。
アラームだけじゃ足りなくなる。ましては、凉菜はいなくなるっていうのに。