そんな顔すんなよ
重い体をなんとか目覚めさせ、階段を降りて洗面所へ向かった。
「……あ、クソ兄貴」
だが、先着がいた。慶輔が眉間に皺を寄せながら俺を見た。
「いつまでも根に持つ奴だな」
「兄貴がが言うなよ!」
俺は慶輔を無視して、水道の水を出して顔を洗った。
「あ!今、俺が使ってんだよ!」
「年上を敬うべきだ」
「ふざけんなよ、凉菜ちゃん一筋な兄貴め!」
だーから、わざわざ凉菜の名前を出すなっつーの。
「あれ?もしかして照れてる?」
「……んなわけねーだろ」
「うっひゃー!兄貴ってばかなり凉菜ちゃんを溺愛してんね!」
「………」
思いっきり、さっきとは逆の慶輔の足を踏みつけた。
「あいだっ!」
「兄貴を冷やかすな」
洗った顔をタオルで拭き、サッパリとした気持ちで洗面所を後にした。