そんな顔すんなよ
「あんた達、朝から仲良いわね。さすがお母さんの子♪」
「……そりゃどーも」
ニコニコしながら弁当を作る母さん。母さんが作る弁当は可愛いらしく、凉菜に大好評だ。
「ちょっと母ちゃん!俺、兄貴に蹴られたんだけど!」
「あら、変わったスキンシップでいいじゃない」
1つ付け足すとしたら、母さんは平凡で天然な人。悪徳商法にすぐ引っ掛かりそうな感じ。
慶輔は呆れながら炊飯器の元へ。俺は母さんの鼻歌を耳に、黙々とご飯を食べ始めた。
「あ!そういえば」
何かを思い出したかのように、鼻歌はピタリと止んだ。
「凉菜ちゃん一家、引っ越しちゃうんだって?」
声だけを俺に問いかけた母さん。……なんだ、もう知ってんじゃんか。
「らしーよ。2週間後だっ…」
「えええ!?凉菜ちゃんってあの凉菜ちゃん!?」