そんな顔すんなよ
驚きを隠せずに叫ぶ慶輔。コイツの性格は父親似だな。
「兄貴、凉菜ちゃんと離れちゃうじゃん!」
「別に」
「だって、会いたい時に会えないし、触れたい時に触れられ…」
「慶輔、お前変態」
「んなっ!!」
「まぁまぁ」
母さんののほほんとした声で慶輔は収まる。最近男らしくなってきた体つきが小さく見える。
「それで引っ越し先は?」
「大阪。たこ焼き、楽しみにしてた」
「凉菜ちゃんらしいわね。お母さんも大阪のたこ焼き…食べてみたいわぁ」
……話ズレてるって。
「兄貴、やっぱり寂しいんじゃないの?」
「大阪のたこ焼きを凉菜に食われることが?」
「とぼけんなよ!」
「とぼけてない」
「そうやって本音を隠すよな、兄貴は」
慶輔はから笑いをした。