そんな顔すんなよ
それにしても、慶輔に見透かされていたとは。兄貴として恥ずかしいな。
「兄貴の心情なんて楽勝♪」
「……うっせぇ」
「ねぇ優輔、凉菜ちゃんは大丈夫そう?」
「それが意外に笑ってるんだ。俺もビックリするくらいにアイツ…笑ってんの」
「……そうなの」
「無理、してそうだけど」
それからは凉菜の話題を出さずに学校へ行く身支度を済ませた。
離れることなんて、何も考えたくない。今は学校に行って、凉菜に会って、凉菜と笑い合いたい。
ただ……それだけ。
「行ってきます」
「あっ、兄貴待てよぉ!」
家を出た俺に続いて慶輔も出る。母さんはいつもと変わらない笑みを溢した。
「あのさ、兄貴…大丈夫?」
「お前…そんなに俺のことが好きなのか?」
「き、気持ち悪いこと言うな!」