そんな顔すんなよ





……意味わかんねー。俺は慶輔の背中を見送りながら、キャンディを握りしめた。


「優輔ー!」


一気に胸が締め付けられた。振り返ると、昨日と変わらない笑顔を見せる凉菜がいた。


「お、おはよ」


「おはよう♪今日も慶輔くんと仲良さ気だったね!遠くから見えてたよ!」


「仲良さ気?全然なんだけど」


「嘘つけー。大声で叫び合ってたくせにぃ!」


「そこ、見たんだ?」


微笑ましかったよ、と白い息を吐きながら目尻を下げる凉菜。俺の胸はドキドキ。


「今日、お前早いな?」


「あ、やっぱりわかった?実は早起きしたの!」


「いつもは遅刻寸前なのに、どうしたんだよ」


「ふふふっ、知りたい?」


「別に。……お前が言いたいんだろ?」


と言った瞬間に、凉菜がほっぺをパンパンに膨らませた。


…………あ、拗ねた。





< 20 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop