そんな顔すんなよ
「怒んなよ」
「……何かくれる?」
「はい?」
何かくれれば怒らないわけ?てゆうか……コイツこそ子供じゃねーかよ。
ふと、握りしめていた棒キャンディが目に入った。
「凉菜……コレ、やる」
くしゃくしゃになった袋に包まれた棒キャンディを、凉菜の手にのせた。
「わぁ…キャンディ♪なんで優輔がキャンディ持ってるの?」
「……マジック」
「嘘っぽーい。あ!優輔…お菓子が大好きだったとか!?」
「んなわけねーだろ」
慶輔、お前がくれた棒キャンディが役に立ったみたいだから、お前に感謝するよ。
凉菜の引っ越しまであと13日。
朝が弱い凉菜は、いつまで早起きが出来るんだろう。
棒キャンディ1つでニコニコする凉菜を…愛しく思ってしまった朝だった。