そんな顔すんなよ
でも、この凉菜の言葉に助けられている自分がいる。それだけは確かなんだ。
「あ!また凉菜ちゃんが男の元へ行っちゃった」
「………」
「おいおい。拗ねんなよ、優輔」
「アホ。拗ねてねーよ」
美人なわけではない。それに、特別に可愛いってわけでもない。
だけど、そんな凉菜だからこそ人気があるのかもしれない。
飾らない凉菜…ありのままの凉菜をさらけ出す姿は、俺の憧れでもある。
「あれ?もう戻ってきた」
那都の言う通り、珍しく凉菜が早く帰ってきた。
「……って、こっち来るよ」
凉菜が早足で俺の元に来る。何?な…何だよ、イキナリ。
「……優輔」
「ん?」
「バカ」
は?
「……あのさ、よく意味がわかんないんだけど?」
「それはあたしの台詞!」
何?何でコイツ、こんなにイライラしてんだよ?