そんな顔すんなよ
途端に笑いが溢れる教室。先生は小さくため息をついた。
「じゃあ、せめて知ってる英語を言いなさい」
「やっぱり…英語ですか?」
「大宮、お前は今、何の授業かわかってるのか?」
もちろんです、とシュンとしながら答えた凉菜の背中は、いつも以上に小さい。
見てるこっちがイタイんだけど。
助け船でも出そうかどうしようかと考えていた時、凉菜の口が動いた。
「アアア……」
今度は女の人の哀愁でも表しているかのようだ。……本当に大丈夫かよ、凉…
「………アイラブユースケ」
ガンッ
肘が滑り、持っていたシャーペンまでも床に落としてしまった。
………は?
アイツ、何言ってんの?
「先生、知ってる英語を言いましたよ?」
「ま、まぁ…」
呆気にとられる先生を見て、誇らし気に座った凉菜。
いや、誇らし気にするところじゃなくない?