そんな顔すんなよ
真剣に、でも少しだけ顔を赤くしながら凉菜は言った。
「あたしだって不安になるよ。優輔を独り占めしたいって思っちゃうんだよ」
「凉菜…」
「ケイ子ちゃんの件も、本当は…アドレスを教えなかったことに、ホッとしてるあたしがいるの」
凉菜は、ただのバカじゃなかったみたいだ。
「英語、驚かせてごめんね」
……謝んなよ。実は嬉しかったんだし…それに、お前の気持ちが聞けてよかっ…
「偶然にもね、アイラブユースケが教科書に書いてあったの!ビックリしちゃった」
「……?」
「本当、出版会社には助けられたなぁ♪あれ以外は全く読めなくてさー」
教科書に書いてあっただと?
そういえば以前、教科書をパラパラ見ていた時に『アイラブユースケ』の英文を見た気がする。
……天然に、やられた。
凉菜の引っ越しまであと9日。
改めて、俺の心を乱すのは凉菜しかいないことを知らされた。