そんな顔すんなよ
「こんのヤロ…」
冬の冷たさを持つ霜をすくい取って、凉菜に向かって投げた。
「わっ!顔に当たったじゃん。ってもうっ、髪までー!」
「お前が悪いだろ?」
「軽はずみで投げただけなのに!もー髪にまで当てることないじゃないっ」
「たまたま当たっただ…」
ベチャッ
言い終わらないうちに、再び凉菜から霜の攻撃を受けた。
「えへへっ、おあいこ♪」
俺の髪を触りながらニコッと笑う凉菜。
ダメだ。
この笑顔を見たら、何も言い返せないじゃねーかよ。
「ほーら、優輔ちゃんこっち向いて!」
凉菜がケータイをカメラモードにして俺へ向けてくる。
「…ふざけんな、タコ」
「タコじゃない。凉菜だもん!」