そんな顔すんなよ
凉菜のケータイを取り上げようとした時、
カシャッ
と音がした。俺は静かに凉菜を見る。凉菜の顔はみるみる笑顔になっていく。
「撮ったな?」
「あはは…撮っちゃった♪」
「もちろん削除は」
「しない!」
ニコニコしながらケータイに写る俺を見つめる小動物。
ったく、何が楽しいんだよ。
「俺にも見せろよ」
「ダメ!削除するでしょ?」
………ちっ、バレてたか。
「削除…しねーよ」
「本当に?」
「……多分」
「じゃあダメ」
「………嘘。削除しません」
「よーし。いいよ!」
来て来てと手招きをされ、渋々ケータイの画像を見た。
「……うわ」
「ね、可愛いでしょ?あたし特製の髪型♪」
ごめんだけど頷けねーよ。