そんな顔すんなよ
「ち、遅刻するぞ」
凉菜の顔を見れずに、ぶっきらぼうに足を進めた。
「あっ、待ってよー!」
凉菜の声を後ろに感じながら、チラホラ見える同じ学校の制服が視野に入る。
自分でしておきながら、かなり照れ臭いことをしちゃった。
2ショットを待ち受けにしてほしいのは、凉菜に余計な虫がつかないようにするため…っていう下心があったんだ。
不安なんだ。
今もこれからも。
俺は、お前とのこれからが…不安で仕方がない小さな男なんだよ。
「ゆーすけっ!」
ぎゅっ
一瞬にして、体の自由が利かなくなった。俺に回された小さな腕。そして落ち着くこの香り。
「だーいすきっ♪」
顔を見なくてもわかる表情、そして背中に感じる体温が愛しい。