そんな顔すんなよ
「………あんの、バカ」
「本当よ。それに、毎回藤島くんとの些細な展開を報告されてる、あたしの気持ちにもなって?」
「あ、はは」
苦笑しかできない。だけど、内心では嬉しかったりする。
「でも…これから寂しくなるね」
「そう、だな」
「毎朝の早起きもリタイアしてないし」
「それは俺もビックリしてる」
まぁ早起きをしてる分、授業中に凉菜の寝てる姿をよく目にしてんだけど。
「まぁ…何もかも藤島くんといてこそ成り立つのかもね」
遠くから小さなアイツが走ってくるのが見える。山西はじゃあね、と言い残して階段へ向かった。
俺だって、凉菜がいなくちゃ成り立たないっつの。
いつだって傍にいて欲しい。
「ごめんね、待った?」
儚い祈りを胸に秘め、凉菜の頭をぐしゃっとした。
凉菜の引っ越しまであと6日。
切ない気持ちは募っていくばかりだった。