そんな顔すんなよ
引っ越し前日
シャッ
「……んぁ、超眩しいっ」
「あ、悪い」
思いっきりカーテンを開けると、睡眠中の慶輔を起こしたようだ。
「んー今何時?てゆうか、凉菜ちゃんアラーム鳴ったっけ?」
「まだ鳴ってない」
「ふぁぁ…兄貴、早起きなんかしてどうしたの?」
凉菜の引っ越しまであと1日。
今日は凉菜との登下校が最後になる日だ。
「最後だから迎えに行く」
俺のために、苦手な早起きをしてくれてたんだ。そして、俺にも何かできないか考えた結果がこれだった。
「愛しの彼女、泣いちゃうんじゃない?」
「バカ。泣かねーよ」
「だって初めてじゃん」
そう、1年も付き合っているが、迎えに行くなんて初めての行いだったりする。