そんな顔すんなよ
苦しい気持ちを抑えて、朝食を食べるために1階に降りた。
「あら王子様、凉菜ちゃんをお迎えするんだって?」
早速、母さんからの打撃を受け、バラした張本人であろう慶輔を睨んだ。
「悪ぃ、口が滑っちゃった♪」
「母さん、慶輔彼女いるって」
「んなっ、兄…!」
「まぁ!慶輔にも彼女ができたのね♪どんなコなの?同じ学校?」
そして母さんの質問攻めが始まった。へっ、仕返しだ。それから母さんを慶輔に任せて、朝食を済ませた。
「いつか絶対に仕返しする!」
と、慶輔が嘆きながら言ったのは心に留めておこう。
いつもより早い時間。俺は一呼吸して家を出て、学校とは違う道へ向かった。
右足を出す度に凉菜の笑顔が浮かび、左足を出す度に凉菜の驚愕の顔が浮かぶ。