そんな顔すんなよ
痴話喧嘩から一夜明けた今日、おっちゃんのお陰で今まで通りに戻った。
「本当、おっちゃんには感謝♪」
「だな。たこ焼きもサービスもしてくれたし」
いつまでも、お前とこうやって話していたいと思った。時間なんて止まればいいと願った。
「……優輔」
「ん?」
「手、繋ご?」
凉菜から差し出された左手。普段の俺なら絶対拒否ってるけど…
「………今日だけ、だから」
「うん!今日しかないもん!」
照れながら手を繋いだ瞬間、凉菜の言葉が胸を痛めた。
─────今日しかない。
その言葉がとても切なく、苦しく聞こえた。
離したくなくて、どこにも行って欲しくなくて、凉菜の手をギュッと握り返した。
「……?どうしたの、優輔?」
「別に。お前がちゃんと飯食ってるか気になっただけ」