そんな顔すんなよ
何?
この中途半端な感じ。
え?
マジ、意味わかんねーし。
凉菜…どうしたんだよ。俺が何かしちゃったのか?普通に荷物持ってただけなんだけど?
♪〜♪〜♪
ケータイの着信が鳴る。期待を抱きながら急いで電話に出た。
『もしもし、優輔?帰りに卵買ってきてちょうだい。あ、凉菜ちゃんとラブラブ中だったかしら?ウフフッ』
『おーい!母さん、邪魔しちゃダメだろー?』
相手は母さんだった。そして電話口からは慶輔の声も丸聞こえ。
ラブラブ?ふざけんなよ。そんな雰囲気を出す前に、凉菜がいねーっつーの。
母さん達に言い返す気も抜け、電話を切った。
凉菜の引っ越しは明日。
さっきまで普通に会話をしていたのに、急に凉菜がいなくなった。
泣くこともなく、ただいつものように笑っていたから…俺は何も言えなかった。