そんな顔すんなよ





「………」


母さん…ごめん。せっかくの晴天なのに、今日は洗濯物を干す余裕がないみたい。


中途半端な洗濯物を残して、急いで家の中に入った。


RRRR〜♪


途端に、家の電話が激しくなり響いた。誰だよ、こんなに急いでいる時に。


「はい、藤島で…」


「あ、兄貴か!?」


電話相手は先程部活に向かった慶輔だった。それにしても、相当息を切らしている様子。


「どうした?忘れ物なら届けねーぞ」


「す…凉菜ちゃんが…っ」


凉菜?


「もう、出発するんだ!」


………は?


「俺、彼女ん家に行ってから部活に行くつもりで、凉菜ちゃん家の前を通ったんだよ!」


何言ってんだよ。


「そしたら、車には両親が乗ってて、凉菜ちゃんが友達と抱き合ってたんだっ」


だって、夕方って言ったんだぞ?何で今行くんだよ。





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