そんな顔すんなよ
「……にすんだよ!」
引き留められた山西の手を振り払う。
「何なんだよ。アイツといいお前らといい…」
「コレ、凉菜から」
「あ?」
「本当は、凉菜が出発してから藤島くん家に届けるつもりだったけど…今渡すわ」
俺の文句に耳を傾けず、可愛らしい封筒を俺に渡した山西。ぶっきらぼうに受け取って、封筒を開けた。
─────優輔、また会おうね
真ん中に凉菜の字として並んでいた言葉たち。
「何だよ…コレ」
封筒はまだ何か入っている様子。急いで取り出してみると、
─────お揃いの使い古した、キモカワの猿のマスコットが入っていた。
嫌な予感がした。
凉菜が俺に引っ越す時間を教えてくれなかったことも、手紙の意味も…何もかも1つのことにしか繋がらない。
そう……アイツは俺と別れる気なんだ。