そんな顔すんなよ
「ありがとう、優輔!」
やっぱり凉菜の笑顔には敵わねーや。そう思いながら、財布から野口○世さんを1枚、おっちゃんに渡した。
「いや、いい!」
だが、素早くおっちゃんに返された。
「は……はい?」
「今日はいらない!おっちゃんからの奢りだ!」
イキナリ何が起きたのか理解出来ない、俺。おっちゃんからの…奢り?
「優ちゃん、思ってることは伝えなきゃ伝わらねーぞ?」
これが凉菜に聞こえたのかは分からない。だけど、俺にはハッキリ聞こえたおっちゃんの言葉。
おっちゃんは……もう俺の気持ちを見抜いてるんだ。ただ単にたこ焼きを作っていただけじゃなかったんだ。
「な、何も考えてなんか…」
「見栄張ったって無駄だ。おっちゃんには分かる!」