そんな顔すんなよ





「ありがとう、優輔!」


やっぱり凉菜の笑顔には敵わねーや。そう思いながら、財布から野口○世さんを1枚、おっちゃんに渡した。


「いや、いい!」


だが、素早くおっちゃんに返された。


「は……はい?」


「今日はいらない!おっちゃんからの奢りだ!」


イキナリ何が起きたのか理解出来ない、俺。おっちゃんからの…奢り?


「優ちゃん、思ってることは伝えなきゃ伝わらねーぞ?」


これが凉菜に聞こえたのかは分からない。だけど、俺にはハッキリ聞こえたおっちゃんの言葉。


おっちゃんは……もう俺の気持ちを見抜いてるんだ。ただ単にたこ焼きを作っていただけじゃなかったんだ。


「な、何も考えてなんか…」


「見栄張ったって無駄だ。おっちゃんには分かる!」





< 9 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop