千年の追憶【完】
私は複雑な気持ちで早時様を見つめた。


同じクラスの同級生となった今、どうやって接すればいいんだろう。


それに、早時様に聞きたい事は山ほどある。


どうして鬼に?
どうやって鬼に?


「俺の力がそろそろ限界だ。
元の時代に戻ろう。」


うっすらと、額に汗がにじんでいる。


「それと。
…俺の事は、様付けしなくていい。」


早時様は含みのある、妖艶な笑みを浮かべた。


「…!!」


そうなんだよね。


早時様は…。
否。
鹿住くんは…。


私を立たせて、軽く肩に手を置くと、金色の瞳が僅かに光った。


地面が少しだけ歪んだような感覚の後、私の体は肌寒さを感じた。


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