千年の追憶【完】
「あの子、雪路だ。」


ボソッと、私にだけ分かる声で鹿住くんは呟いた。


「…!!」


またもビックリ。


美百合はというと、失礼な鹿住くんの態度に気を悪くしたのか、側に居た女子達に文句を聞いてもらっている。


「ホームルームが終わったら学校を抜け出すぞ。」


「えっ?」


「チャイムと同時に、廊下に出ろ。」


鹿住くんが、早時様と分かった今、私に選択権はなかった。


私、めちゃめちゃ前世(かこ)を引きずってる。


ついさっきまで水菊だった私に命令なさらないで下さい。


逆らえる訳ないですよ…。


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