千年の追憶【完】
ホームルームの間、鹿住くんは俯いていた。


そして何やら妖しげに小さく口を動かしている。


少し苦し気な表情。


クラスの女子達も、チラチラ彼の席を振り返り、気にしていた。


多分、チャイムと同時に駆け寄る気でいるんだろう。


でも、ごめんね皆。


私達、抜け出すんだって…。



ソワソワしながら時計を気にしていた私は頭の中に響く、鹿住くんの声を聞いた。


『今だ。走れ。』


びっくりして立ち上がる。


次の瞬間、腕を掴まれ廊下に引きずり出された。


< 108 / 203 >

この作品をシェア

pagetop