千年の追憶【完】
「えっ?姿を消すんですか?
どうやって?」


「うん、俺の妖力で。
念じるような感覚かな。
俺、いろいろな技を使えるようになったんだ。
そうやって、技使ってさ…ひっそりと生きて来た。」


そう言って鹿住くんは、疲れたように苦笑した。


「何でこの場所なんですか?」


「この場所?
話すと長くなると思うけど。」


「いいんです。
早時様には色々と聞きたいから。
この場所についても、聞きたかったんです。」


「…。
水菊と呼んでもいいか?
気を抜くと鬼に戻ってしまうが…。
それでも俺を、早時と呼んでくれるか?」


囁くように鹿住くんは言う。


「少し、昔話をしましょうか?
早時様。」


私は、微笑んだ。


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