千年の追憶【完】
「お前…。屋敷に閉じ込められていたんじゃないのか?
もう無罪放免か?」


嫌味たっぷりに、言ったつもりだった。


「早時様、何を怒っていらっしゃいますの?
久しぶりに雪路に会えて、嬉しくはありませんの?」


雪路はキョトンとした顔で聞いてくる。


「自分のした事、分かってないのか!」


イラッとして、俺は声を荒げた。


雪路は、分からないとばかりに小首を傾げてみせる。


ハッと、何かに気付いた様に雪路は俺の目を見てから微笑んだ。


「もしかして水菊の事を言ってらっしゃいますの?
しつこく付きまとう使用人が居なくなって、早時様も平穏な日常が送れますでしょ?
あの女、早時様のお子まで身籠るなんて許せませんわ!」

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