千年の追憶【完】
「帰れ。
もうここには来るな。
俺の前にも現れるな。
俺の愛する女は生涯ただ一人。水菊だけだ。
俺の水菊を返してくれ…。」


最後の方、俺の目から自然に涙がこぼれていた。


ぶつけようのない感情が、俺を襲う。


雪路を責めたところで、二度と戻らない現実。


それに、悪びれないアイツが憎らしくて、責める気にもならなかった。


心が壊れてしまいそうだ。


泣いている俺を見て、雪路はまた来ると言って帰って行った。


ポッカリ心に、穴が開いた気分だった。


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