千年の追憶【完】
俺は、今日も池の畔に花を供えに行く。


「水菊、今日も来たよ。」


水菊が血を流し横たわっていた場所にそっと触れる。


『お主、女を求めるか』


「?」


確かに、声が聞こえた。


聞こえたというか、頭の中に響いてきた。


『死んだ者は次の世に再び生まれ来るぞ』


「誰だ?」


辺りを見渡すが、誰もいない。

いつもの風景がそこにある。

池と祠。


『そう…祠だ』


気付いたか、とでも言うように頭の中に響いてくる。

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