千年の追憶【完】
この祠は、鬼の祠だったのか。

ずっとここで暮らしてきた。

何度もここへ来た。

でも、今までは何もなかった。

何故、今?


『何故、今か…知りたいか』


俺の心が読めるのか?


『その通りだ』
『手に取るように分かる』
『お主は我に逆らえぬ』


小間切れに頭の中に響く、鬼の言葉。


『我の意のままに動け』
『鬼になれ』
『不老不死と妖力を授けてやる』


無表情のまま、鬼は語りかけてくる。


『女は必ず生まれ変わる』
『次の世で結ばれればよい』


俺の心臓がドクンと音をたてた。

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