千年の追憶【完】
「早時様。」


やっぱりな…。


立ち上がり、どれくらい池を眺めていただろう。


後ろから、雪路に声をかけられた。


「今日もこちらにいらっしゃいましたのね。」


俺は振り向かなかった。


聖月の指示を待っていたから。


「早時様ったら。」


雪路は俺の隣に立ち、俺の顔を覗き込む。


「相変わらず、お美しいこと。見惚れてしまいますわ。」


クスッと雪路は小さく笑った。

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